白老陣屋から「ぐるぽん」で5分ほど。ウポポイにやってきました。
ウポポイはアイヌ文化の復興・創造・発展の拠点として2020年に誕生した「民族共生象徴空間」 。
入り口付近にはレストランやショップが並びテーマパークのよう。
「国立アイヌ民族博物館」「国立民族共生公園」「慰霊施設」といった施設がポトロ湖の南岸に広がっています。
園内に点在している施設では、伝統芸能の上映、体験講座などアイヌ文化を体験できるプログラムが行われています。
GWということもあって、子供を連れた家族が多い印象。
また、「ゴールデンカムイ」の影響か、若い人の姿も目立ちました。
子供や若い人が北海道の先住民族であるアイヌの文化に触れる機会が増えるのはよいことですし、
伝統的なアイヌの生活がほぼなくなっている中で、伝統を継承していく、継承することを仕事にできる、
というのはとても良いことだと思います。
でも・・・
最初に感じた違和感が徐々に大きくなってきました。
「国立アイヌ民族博物館」は入口正面にある巨大な博物館。
アイヌについての展示は道内各地の博物館、郷土資料館にありますが、ここはそれらを包括、網羅したものだと想像していました・・・
展示は、アイヌの言語や風俗、道具など民俗的な内容が中心。ただハレに偏っている印象が強く、ケへの言及が不十分と感じました。
また、縄文文化から続縄文文化、擦文文化と本州以南とは異なる文化変遷を経たこと、そして、歴史上アイヌ文化がどのように生まれどのように位置づけられているのか、ロシア沿海州や樺太、千島といった環オホーツクの中での関わりなどの説明がほとんどなくモヤモヤします。
さらには、松前藩の蝦夷地支配以降の歴史はまるで他人事のようにあっさりと流されています。
北海道旧土人保護法の時代、さらにその前の開拓使、江戸幕府、松前藩がアイヌにどのような仕打ちをしたのでしょうか?その裏にわれわれはどういう意識や考え方を持っていたのでしょうか?
今も残る差別意識を克服しようとするのではなく、覆い隠して見えないようにしているように感じます。
この先に、目指すべき「民族共生」はあるのでしょうか?
はっきりいえば、ウポポイは「アイヌ文化の復興・創造・発展」を建前としたアイヌを見世物にした単なるテーマパークです。
「人間動物園」に通じるようなうすら寒さすら感じます。
そこには、アイヌに対する深い理解も共感もありません。
このような施設をアイヌの人々は諒としたのでしょうか?
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