カラフルな世界、モノクロの日常

鉄道、城、サッカーなど、自分が興味を持っていることを思うがままに書いています。yahooブログ終了に伴い、はてなブログに引越ししてきました。

『阿佐ヶ谷ラプソディ』

阿佐ヶ谷には親戚の家があるため年に数回行く機会があります。
この本の中には知っている場所がいくつも出てきましたので、とても面白く読めました。

中央線沿線には独特の「文化」があるといわれますが、私のはその深いところは分かりません。
ただ、こういう雰囲気はいいなって思います。


「ねえ、未来の日本って、どうなっていると思う?」
真理亜がやぶから棒に尋ねてきた。
「随分漠然としているな。少なくとも車は空を飛んないだろ」
「そういうのじゃなくてさ、今より生きやすくなってると思う?」
「どうだろ。義足とか医学の技術は進歩するんじゃないの。けど、これ以上便利になることはあまりないと思うな」
「私はね、息苦しい世の中になるんじゃないかって思ってる」
〔…〕
「そう、自分と趣味・嗜好の違う人間を認めず、他人を攻撃する人が増えているような気がするな。攻撃をすれば一時的にスカッとするんだろうけど、結果的には自分たちの首を絞めることになるんだよ。健康のためとか安全のためとか言いがかりつけて、心の健康のことは何も考えてないじゃない」
「レイブパーティーもそうだな」俺は言った。「どんな山奥とか人気のないビーチで音を鳴らして踊っても、警察は追いかけてくるんだ。海外だと賄賂目当ての場合も多いけど、そうじゃない場合はドラッグの売買とか、犯罪の温床を未然に潰したいという場合が多い。都市が発展すると、過剰なまでの浄化が進むんだよ」
「ふうん。自由が減っていくねぇ」
(155頁~156頁)


又井健太『阿佐ヶ谷ラプソディ』(ハルキ文庫、2013年)
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