カラフルな世界、モノクロの日常

鉄道、城、サッカーなど、自分が興味を持っていることを思うがままに書いています。yahooブログ終了に伴い、はてなブログに引越ししてきました。

台湾の話 ①新幹線編

3月最初の金、土、日の3日間台湾に行きました。
会社の研修なので、取引先の工場を訪問したり、現場を見学したり・・・
そのため、台北~新竹往復で新幹線(高鐵)に乗ったのと、MRTに3駅乗っただけと、鉄道好きにはいささか淋しいものとなりましたが
それでも見えたものが若干あるので、まとめておきたいと思います。
一応連載3回の予定・・・


台湾の高速鉄道(高鐵)は日本の技術が使われて建設されました。
このあたりの事情は、鉄道ジャーナル連載の齋藤雅男『高速鉄路建設のあゆみ』等々を参照いただくとして、
ここでは自分が感じた印象を書くにとどめたいと思います。

台北駅は地下にあります。在来線用に造られた設備を改造して使用しているので、少し手狭な感じです。でも運転本数が多くないので、線路容量にはまだまだ余裕がありそう。
在来線との間は頑丈な柵で仕切られています。運転中は何人も線路内に入れない、という発想は日本と同じみたいです。

車両は日本の700系を基にした、700T系。でも、先頭の流線型の形状は異なっています。
カラーリングの影響もあって、印象はかなり違います。台湾のほうが少し野暮ったく見えるのは、多分慣れの問題だと思います。
側面、及び室内の造作は殆ど同じ。勿論、シートの色、荷棚など細かい違いはありますが。
ちなみに、台車も異なっているらしいです。700系は300km/h運転の実績がないため、台車だけは500系のものを使用しているとのこと。言うまでもなくホーム上からは見えないので、現物の確認はしていません。

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台北を出発すると暫く地下を走行します。カーブが多く、非常にゆっくりとした足取りです。
スピードが上がらないまま、すぐに板橋。日本の新幹線には珍しい地下駅です。優等列車の停車駅にしてはそっけない感じで、地下鉄の駅みたいです。

板橋を出て地上に出ると、漸く地上へ。スピードも上がりいよいよ本領発揮という感じです。
でも、高速走行に移っても走りは安定し、いたって静かです。乗り心地は悪くありません。
日本の新幹線のようなすれ違いのときの揺れや、トンネルに入るときの気圧の変化も殆どありません。
思うに、設備が日本より大柄に作られていることが影響しているものと思います。
台湾の新幹線の建設においては第一交渉権を欧州連合が獲得したというのは周知の話。そのため土木関係はTGVを基準に設計されました。TGVは日本に比べてトンネルは大きく、線路の間隔も広いので、それが乗り心地に良い影響を与えているものと思います。
日本がトンネル微気圧波対策で苦しんでいることを考えると、このような大柄な設備は将来のスピードアップの際にも大きなアドバンテージになるでしょう。

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高鐵はわざと既存の市街地を避けて作られました。その為駅の多くが既存の市街地から離れています。
自分が下車した新竹もそのひとつ。
しかし、駅前はかなり開発が進み、新たな街が出来上がりつつあります。
新竹旧市街からの連絡鉄道も建設中で、完成した暁には、両者間のアクセスが飛躍的に向上するものと思います。
ちなみに、そのあたりの関係は岐阜羽島駅と岐阜駅、両者を結ぶ名鉄羽島線に似ているようです。

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運賃の高さと上記のようなアクセスの悪さによって、高鐵の利用客はかなり低迷していると報道されています。
しかし、ちょっと見る限り台北付近では乗車率8割は超えている感じでした。
新竹から台北へは僅か30分の距離ですが、新竹からの乗車も結構多いです。
高鐵は確実に台湾の社会に溶け込んでいっているようです。
台湾は人口密度が高く、都市が連なっているため高速鉄道が活躍できる条件が揃っています。
ポテンシャルは高いです。本領を発揮するのはこれからでしょう。