カラフルな世界、モノクロの日常

鉄道、城、サッカーなど、自分が興味を持っていることを思うがままに書いています。yahooブログ終了に伴い、はてなブログに引越ししてきました。

『楽しき熱帯』

私自身が昆虫にのめりこんだ経験がないため、この本に書かれている内容の深いところが理解できません。
ただ、以下に引用する文章が妙に気になったので記録しておきたいと思います。

「ジョン・C・クリッチャーというアメリカの学者が書いた『熱帯雨林生態学』(伊沢紘生監修 幸島司郎訳 どうぶつ社)という本」に書かれた内容を引用しつつ書かれています。


先に名の出たクリッチャーがこんな話を紹介している。

もしも、知性を持った宇宙人が銀河系の遠くから地球へやってきたら、彼らは、地球上で最も栄えている生物はトウモロコシや小麦や米で、これらの植物が二本足の奇妙な生物集団を共同で奴隷化し、自分たちの世話をさせているのだと考えるだろう……。

 たしかに、大量の遺伝子を残し、種族が繁栄するということで大成功を収めているのは、これらの穀物であるに違いない。
 世界の穀倉地帯といわれる土地では、人間が一所懸命、雑草と呼ばれる他の植物を排除し、害虫と呼ばれる、これらの植物を食う昆虫を駆除し、さらにバクテリア、ウイルスを消毒して、見渡す限りの土地をトウモロコシや小麦や米で埋め尽くしている。
 しかもその前に、まず森林を伐り拓き、そこにいた動植物の一切を滅してから、これらのものを植え、世話をしているのである。つまり人間は、米と麦とトウモロコシの天敵となるものをすべて取り除くために、まさに奴隷のように働いているわけである。
 そうして穀物が豊富に食べられるようになると人口が増えるから、また必死になって畑や水田の面積を増やす。そのために人間同士殺し合いまでもする。これはひょっとして米と小麦とトウモロコシの陰謀に引っ掛かっているのではないかと考えたら、何が何やら仕舞いに話がわからなくなってくる。
(233頁~234頁)

奥本大三郎『楽しき熱帯』(講談社学術文庫、2011年)
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