カラフルな世界、モノクロの日常

鉄道、城、サッカーなど、自分が興味を持っていることを思うがままに書いています。yahooブログ終了に伴い、はてなブログに引越ししてきました。

訪城記 ~杉山城~ 【2018.4.28】

2008年に国指定の史跡に指定され、2017年には「続日本100名城」にも選定された杉山城、
数年前までは知る人ぞ知る、という感じだったと思うのですが、いつの間にか山城のエースになりました。

その流れにはまるように、私自身も徐々に杉山城に行きたいという気持ちが高まってきていました。
しかし、武蔵嵐山駅から歩くとかなり遠いこと、同じ地域にある菅谷館や松山城と一緒に行こうとすることかなりの駆け足になってしまうことから、工程の決定打が作れずにいました。

そんな中、「リアルぽちっと杉山城 第2弾」というイベントを見つけたので、参加してみた次第。
真田丸」の考証も担当した西股総生先生が説明してくださるということでとても貴重な経験でした。
専門の研究者に説明してもらえるなんてそうそうないですからね。


武蔵嵐山駅に集合し、歩いて杉山城に向かいます。
団体でゾロゾロ歩いたことと、途中で嵐山町役場に寄ったこともあって、小一時間はかかったでしょうか?

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積善寺という寺院の敷地を通って、裏山に登ります。
すると、目の前に土塁が見えてきました。

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まずは南側の曲輪群を歩きます。
執拗な横矢が印象的。築城者はかなりしつこい性格みたいです。

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右に左にぐるぐる歩いて主郭の前に到着。堀を渡れば主郭ですが、橋がないので渡ることはかないません。
実戦においても、木橋を外してしまえば袋のネズミになるわけで…ここまで来てこれは萎えますね。

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いったん戻って違うルートで主郭に到達。
発掘調査の結果、主郭からは2棟の建物跡(柱穴)がみつかったとのことです。
さらにいえば、建物の跡はこの2か所しか見つかっておらず、つまりは当時も建物らしい建物はなかったということみたいです。

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北側の曲輪へ。
こちらは曲輪の大きさが南側より広く作られていて、多くの兵を籠めておくことができそう。

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最後に東側の曲輪群。

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大きさ以上に密度の濃い城でした。
私の頭では表現しきれません。
ですので、メモした西股先生の言葉を箇条書きで。
(これは、私自身の備忘録という意味もあります。)

・風化により薬研堀は2m近く埋まっており、土塁は0.5~1m程度低くなっている。そのことを頭においてイメージすることが大事。
・大手は広く、搦手は狭く作るというのが普通。だから、杉山城は北から攻められることを想定していると思われる。
・北からの主攻は人数をかけて受け止め、南からの助攻は少ない人数で効率的に守る。限られた兵をいかに使うかという防衛思想が貫かれている。
・おそらく、300人~500人程度の守備兵で数日持ちこたえればOK。数日あれば川越から援軍が来る時間が稼げるので、勝ち目が出てくる。
・南側の曲輪は虎口のバリエーションが豊富。攻め手に先を読ませないようにしている。
・山城と平城では堀の考え方が異なる。平城は幅で守り、山城は深さで守る。
・樹木は伐採や伐根が大変だし、曲輪内に自然地形が残っていることから、ある程度の樹木は残っていたと想定している。日よけなど使い道はいろいろあるし。

杉山城には俗に「杉山城問題」という築城年代に関する大論争があります。
この問題に対して、西股先生曰く
・横堀を回して堀切を用いていないこと、バイパスルートが発達していること、櫓台がないことなど、滝山城によく似ている。
・そして何よりも、縄張がいちいち理屈っぽい、この理屈っぽさは感覚的に北条という感じがする。

おそらく、この感覚は正しいのだと思います。
実際に戦国時代に生きて見聞きした人がいない以上、最終的に感覚に頼らざるを得ないということを考えればなおさらです。
一方で、学問であり科学であるためには、それを証明する理屈をつけなければいけないというのも事実。
そして、それに成功すれば「通説(=史実)」になり、失敗すれば「妄想」になるわけで、現状、そこに決め手がないから「問題」になっているのですね。たぶん。

私は研究者ではないので、気楽なもんです。とりあえず感覚的に腑に落ちた北条説を信じておくことにしましょう。


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武蔵嵐山駅まで戻って、川越まで移動。打ち上げとなりました。
普段こういう場に出かけることが少ないので、とても楽しい時間を過ごしました。
そして、思いがけず、サポーターが多いことが判明。
川崎サポが笑い、浦和サポと名古屋サポが泣き、ジェフサポは蚊帳の外(J2はつらい…)という悲喜こもごも。新潟サポの方もいらっしゃいました。お久しぶりです。
城好きとサッカーは親和性が高いのか?これは研究テーマになりそうです。


最後になりましたが、丁寧に説明いただいた西股総生先生と幹事のいなもとかおりさんに感謝します。
ありがとうございました。



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